【完】『雪の都』

薫は酔いが醒めてゆく。

「まぁそのあたりは誤解もあるやろから、ねぇ」

「薫さん優しいからなー」

深雪は手元のワインを含んだ。

「薫ちゃんはさ、女の子に基本的に優しいから、誰も最終的には味方になってもらえなくなるよね」

彩の一言は厳しい。

「結婚するとね、旦那さんは味方でいてくれるとまず信じるわけ。それが例えば浮気とかされて信じられなくなると、最終的にはお金とかしか信じなくなるのね」

まだ私はお金しか信じないわけではないけど、と彩は言った。



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