【完】『雪の都』
その彩はときどき、
「ちょっと薫ちゃん、そのコード延ばすの手伝って」
と、よく桜子と同じテーブルになるリーゼントの男に、天井から吊られてある延長コードを伸ばしてもらう。
「やっぱり男手は助かるわ」
背が小柄な彩によく頼まれているらしく、リーゼントは手慣れた様子で、
「はいよ」
とするするとコードを彩のもとまで引いてくる。
「薫ちゃんありがとー」
「えぇよー」
リーゼントの薫ちゃんは、関西弁らしい。