【完】『雪の都』
そこへ桜子は帰ってきた。
「そういえばさ、こないだ桜子って元カレと会ってたよね?」
深雪の爆弾が飛んできた。
「あれはだって、圭くんがお金返すっていうから会っただけで」
「じゃあキスは?」
「あれは向こうが勝手に無理矢理キスしてきただけだし」
「だったら拒否ればいいじゃん」
深雪はどうやら、自分だけが修羅場になるのを避けたいがために、自らが握った桜子の弱味を曝して、薫と喧嘩でもさせようと仕組んでいるのではないかと疑いたくなるほどの口調になった。