【完】『雪の都』

いっぽうで。

薫を乗せたバスは、高速を降りた先の信号で詰まっていた。

しばらくはノロノロと動いていたが、やがて寺の先の信号で老人の男が路駐をしていたのが原因と分かると、

「なんだよあのクソジジイ、あんなもん早くポックリ逝きゃあいいのに」

などという罵声が、薫の後ろから聞こえてきた。

さすがに薫は不快な顔をしたが、席が離れていたのもあって、注意しようという気持ちにまではなれなかった。



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