【完】『雪の都』
桜子と薫にとって、案件として懸念の種でもあったのは元カレの圭であった。
が。
これはこれでサプライズ的な噺があり、
「オレオレ詐欺逮捕」
という小さな見出しに圭が新聞に載っており、読むと圭が詐欺グループの受け子で逮捕された記事が出ていたのである。
これにはさすがに仰天したらしく、
「あの目付きはそういうことだったんだ…」
桜子には心当たりがあった。
やたらに羽振りがいいときと、金欠なときがあった。
圭は、
「まぁ歩合の営業だからね」
と言ってはいたものの、それにしてもあまりに財布の余裕に波があるのだけは、付き合っていた頃に引っ掛かってもいたらしい。