【完】『雪の都』

そのとき、である。

「薫…?」

引率と思われる一人のエプロン姿の女が近づいてきた。

「…澪か?!」

薫は彼女の名前を知っていた。

「もしかして…彼女さん?」

「せや、前に話した桜子」

桜子は軽く会釈した。

「前に言うたかなぁ、元カノの澪」

元カノ、というフレーズで桜子は記憶がよみがえってきた。

前に不倫がどうしたとか話をしていた、あの元カノではないか。



< 163 / 192 >

この作品をシェア

pagetop