【完】『雪の都』
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連休が明けると、例のステンドグラスのエントリーの締め切りがあって、薫は家の形をした小さなランプを出展した。
「まぁ参加賞のティッシュでももらうつもりで」
薫らしい照れ隠しではあったが、桜子は薫の配色がシンプルであるところに、ある種のいさぎよさを感じていたらしい。
搬入の帰り、薫は桜子と待ち合わせて地下鉄に乗った。
「そろそろ籍も入れなあかんなぁ」
などと雑談しながら美園の駅の改札をくぐった。
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