【完】『雪の都』

このとき一人の見覚えのある男が近づいてきた。

圭である。

執行猶予がついて出たらしい。

「…桜子ちゃん」

すかさず薫は改札をくぐる前の桜子に、

「待っとけ」

と言った。

圭が近寄る。

「お前もなかなか往生際の悪いやつやな」

圭がポケットに手を入れたまま間を詰めた。



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