【完】『雪の都』

その瞬間。

「…!」

声にならないうめき声を上げて、圭が薫に体当たりをした。

見た。

薫の腹に刺さったナイフがある。

かふかふ、と血があふれてゆく。

薫は渾身の力で圭の顔を殴り飛ばし、はずみで圭が改札機までふっ飛んだ。

騒ぎを聞いた駅員に、圭が取り押さえられた。

「大丈夫ですか?!」

おぅ、と薫は反応したあと、バタッと派手に音を立てて背から倒れた。



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