【完】『雪の都』
事態に気づいた桜子がトイレから飛び出した。
危険を察知した駅員に羽交い締めにされて制止されると、
「薫さん…薫さん…!」
桜子は声を限りに薫を呼ぶ。
騒ぎを聞いた警官が来る。
救急隊が慌ただしく来て止血をする。
圭に手錠がかけられる。
桜子は力を振り絞って振りほどく。
薫に駆け寄ろうとするが、
「気持ちはわかりますが、落ち着いてください!」
警官が数人がかりで桜子を遠ざけて行く。
桜子に、それを突破する余力は残されてはいなかった。