【完】『雪の都』
数日後。
遺されていた薫の携帯のアドレスを繰り開くと、澪の電話番号やメール、メッセージのIDが消されずに残っていた。
桜子にはそこはよく分からなかったが、
「薫ってそういう人だよ」
澪によると、薫は過去の彼女の連絡先は自分からは消さない人らしい。
「だって縁は切ろうとすれば、いつでも切れるからって」
いつでも切れるものは今切らなくてもいい、というのが薫の方針であったらしい。
「だから相談に乗ってもらいたくて電話したら、おぉ澪かって」
不思議だから訊いたらしく、そこで判明したらしい。