【完】『雪の都』
冬至を過ぎ、明日はクリスマスイブという夜中になって、破水が始まった。
陣痛も始まり、桜子は分娩室に運ばれた。
分娩というのは命懸けで、最悪なときには母子が死に至るときすらある。
それだけに。
桜子が初産というのもあって、駆けつけていた桜子の母や澪、深雪は外で待つより他なかったが、
「薫さんがいたらなぁ」
とも思う反面、
「女所帯になるから、かなり賑やかにはなりそうだね」
とも雑談が出ることもあった。
やがて。
夜が明ける頃、ドアの向こう側から産声が聞こえた。