【完】『雪の都』
この一事がきっかけで桜子は、教室でも薫と話すようになった。
お互いに作っているときは静かだが、休憩になると桜子は薫と、互いの身の上の話題や休日の話をしたりする。
薫の仕事も分かった。
リーゼントだが花屋の店長なのである。
モスグリーンのバイクは配達用でもあり、それで道を知っていたらしい。
関西弁なのは、
「もとは小樽なんやけど、学生時代から独立するまでずっと京都やったから」
とのことで、だいたい十年ぐらいいたらしい。
「まぁ十年もいたら関西弁なるわな」
そう薫は笑う。