【完】『雪の都』

《4》


桜子がステンドグラス教室に通いはじめて初めての雪の日、薫は汗だくになりながら教室にやって来た。

「バイクはメンテに出したから」

と言い、どうも東橋のバス停から歩いて来たらしい。

「まぁ運動にはえぇわ」

と薫は笑った。

失業して最初は笑えなかった桜子も、この時期には少しは笑顔を見せられるようにはなりはじめている。



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