【完】『雪の都』

しかし。

当の薫に言わせると、

「器用貧乏」

と返ってくる。

「なんぼ器用でも、稼ぎにならんのではなぁ」

などとぼやいては、桜子をふっと笑わせるのである。

この日も体験で来てた子供の遊び相手になったりするなど、まるで薫が子供であるような面を見た。

要は。

まるで裏表がない性質で、生来の日なた人間であるらしかった。



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