【完】『雪の都』

すでに雪がちらついている。

「そうなのかなぁ」

「なんで?」

「だって薫さんって明るいし、話は楽しいし…」

「けど色気がなかったんやろな」

「色気?」

「異性としての色気がなかったから、別の男に彼女は求めたんかなって」

薫は肩をすくめた。

「性格のえぇ子やったんやけどなぁ」

決して傷を見せまい、といったような気配が見て取れる。



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