【完】『雪の都』
《5》
待ち合わせの日。
朝から陰気臭い鈍色の曇り空ではあったが、昼近くなって、雲の裂け目から陽が射してきた。
札幌駅の改札で待ち合わせた桜子と薫は、駅ビルのキャラクターショップへ向かった。
店員をつかまえてあれこれ質問攻めに薫がしてゆくなか、
「このランチボックスなんてどうですか?」
とすすめられたのは、赤と黄色が印象的な弁当箱である。
「小学生やからねぇ、どうなんやろ?」
薫は桜子に意見を求めた。