【完】『雪の都』
深雪は薫を見た。
「…新しい彼氏さん?」
「いや、教室で知り合った高梨さん」
深雪は薫に会釈してから、
「あ、今こっちもデートしててさ」
と近くにいた背の高い男を手で招いた。
「新しい彼の大ちゃん」
福留大輔、と男は名乗った。
「どうも」
薫と桜子は軽く挨拶した。
「じゃこれから用事あるから、またね」
深雪と大輔は改札を出た。
桜子はふと時計に目をやった。
「あ、また待ち合わせて遊ぼうね」
どうやら電車がギリギリらしい。
桜子はあわただしく、階段をかけ上がっていった。