【完】『雪の都』
《6》
それから。
桜子と薫は土曜日になると札幌駅で待ち合わせ、バスで東橋の先の東高前の停留所まで乗り、少し歩いて例のログハウスになっている教室へ行き、終わると一緒に食事をして帰るようになった。
「お似合いだね」
と曜日が同じの彩は言った。
薫は例のランプシェードが完成して、作品展に出すという衝立に挑んでいる。
「友達が下絵を描いてくれたんやけど」
知り合いの画家がえがいたという下絵は、岬に船が浮かぶ風景である。
「なんか高島岬の景色らしいんやけど」
と薫は言った。