【完】『雪の都』

《7》


札幌に冬を告げるイルミネーションとクリスマス市が始まった頃、桜子は深雪と大通公園のクリスマス市へ出掛けた。

ホットワインを飲んで体を温め、オーナメントや雑貨を見たりして楽しんでいたが、

「ね、例のあの人は?」

と深雪が訊いてきた。

「あの人?」

「リーゼントのあの人」

「あぁ、薫さんね」

「名前で呼ぶなんて、すっかり仲良しじゃん」

「そうでもないよ」

まだ何にも知らないし、と桜子は答えた。



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