【完】『雪の都』
かくして。
秋を迎える頃には桜子は無職になってしまい、わずかな退職金と失業手当だけで何とか糊口をしのがなければならなくなったのであるが、
「ね、桜子」
と連絡を取ってきたのは、かつての同僚であった長野深雪である。
「何か新しいこと始めた?」
「うーん」
桜子は要領を得ない生返事であったが、
「こんなの見つけたんだけどさ」
と深雪が桜子に示したのは、ステンドグラス教室のパンフレットであった。