【完】『雪の都』
深雪はココアを萌袖(もえそで)で飲みながら、
「でも薫さんって、すごく硬派っていうか真面目だなって」
「なんで?」
「だって彼氏のいない女の子を見たら、クリスマス前なんて男はみんなガツガツしたっておかしくないのに、薫さんって手も繋がないんでしょ?」
「うん」
「硬派というか古風というか」
「でもこないだなんかは、ちょっとめんどくさいことになりそうになったのを助けてくれたし」
「そうやってムキになるなんて、まるで桜子が薫さんの彼女みたいじゃん」
わずかに雪がちらついてきた。