【完】『雪の都』
カフェで桜子と薫はコーヒーを頼んだ。
「あいつ何も言わんかったけど、多分…あいつの相手、不倫やと思う」
「えっ?」
「まぁ断定は出来んけどな」
薫はコーヒーにミルクを入れてから口をつけた。
「うちは別に不倫は容認も否認もせんけど、ただああいうことは難儀やなって」
「難儀、かぁ…」
心当たりがある桜子にすれば耳の痛い話であろう。
「で、珍しく連絡よこしてきよって、小一時間ばかり愚痴話ずーっと聞かされとった」
「ふふふ」
桜子は急に笑いだした。