【完】『雪の都』

いきなり笑いだしたので薫が、

「変なキノコでも食うたか?」

と言ったが、

「いや…薫さんって不思議だなって」

「何が?」

「まるで下心がないから」

「さよか?」

「でもそうやって誰にでも真っ直ぐ向き合おうとするから、女の子にモテるのかなって」

「いやぁ…うちは単に男が信用できんくて、せやから女友達が多くなるだけで」

「男が信用できないって?」

「まぁうちも男やけど、裏切るやろ」

「そこは女も変わらないよ」

「けど女の子って男が誠実に接したら、よっぽどのことにならん限り裏切らんやろ?」

「…確かに」

薫には少なくとも、信藤のようなずるさはない。



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