【完】『雪の都』

ほどなく彩が来た。

「あ、薫ちゃん来たんだ?」

「おぅ」

まるで砂漠でオアシスを見つけたような気持ちになったが、彩の隣には背の高い男がある。

「あ、うちの旦那も連れてきたさ」

まぎれもない。

このあいだ深雪とデートをしていた福留大輔である。

薫はさすがに戸惑ったが、

「どうも」

とだけ挨拶し、取り敢えずの平静を装った。



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