【完】『雪の都』
vol.2
《1》
このときの薫の脳内ほど慌ただしかったのはほとんどないであろう。
(これで深雪ちゃん来たら修羅場やで)
しかし。
桜子ですら深雪が忘年会に来るかどうかは分からないままである。
「まぁ立ち話もなんだから」
そうして円卓に移動すると、なるだけ薫は桜子の隣をキープするように気を配りながら、大輔とは距離を保つように座り位置をさりげなく変えた。