【完】『雪の都』
《2》
タクシーに乗った桜子と薫は、互いにアクセスしやすい琴似の繁華街の居酒屋で少し飲みながら、深雪と大輔が不倫であることに驚いたようで、
「まさかああいう関係やとは知らんかったなぁ」
と、薫は驚きを隠さなかった。
「でも…不倫って、大っぴらになんか出来ないから、彩さんにバレたときが大変そうだよね」
「せやろな」
薫の酒のペースは変わらなかった。
「そういや、こないだの言いかけたアレ…何を言いたかったん?」
「あー…あれね」
桜子はグラスを干し、
「実はね、私…ちょっと前まで不倫してたからさ」
「さよか」
桜子が思っていたより薫の反応は淡泊である。