【完】『雪の都』
次の週。
いつものようにステンドグラス教室に桜子が来ると、なぜかいつも先にいるはずの薫の姿がない。
「高梨さんは年明けまでお休みです」
御堂澤先生は言う。
「なんか、しばらく京都へ行くって言ってましたよ」
御堂澤先生は旅行の事実しか知らないらしく、ただのレジャーと思っていたのか、明るめに言った。
「そうですかぁ」
とだけ桜子は言ったが、
(どうしたのかな?)
という疑問だけは桜子の心中に深く残った。