【完】『雪の都』

御守を授かった帰りに桜子は、久しぶりの小樽でもあったからか、運河からぶらぶらと歩いて、堺町の土産屋がならぶ界隈を見たりしながら、坂を上った先の南小樽の駅まで来た。

下りの階段の先に、海が見える。

少し鉛色を帯びた冬の暗い海には、小さな苛波が白く立っている。

その海を、真っ白なフェリーが行く。

しばらく車止めにもたれて桜子はぼんやりと眺めていたが、

ふと視線の先にあった時計に目をやると、梢だけの桜の樹がある南小樽の駅の改札をくぐって、手稲へ戻る電車が来るのを待った。



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