【完】『雪の都』

御堂澤先生いわく、

「作品をしまう倉庫の鍵が壊されてて、誰か侵入した形跡があって」

見ると薫の衝立だけが倒されて、粉々に割れていたらしいのである。

「せっかくの作品なのに」

「いや、先生の不注意ってのでもないから、違うの作りまっさ」

こういうときの薫の切り替えの早さは周りがびっくりするほどで、

──ああ切り替えが早くては、誰もついて行けないでしょう。

と語る者すらあった。



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