【完】『雪の都』

しかし薫にすれば、

「まぁ半分はやっつけ仕事みたいなもんやからなぁ、こんなんで賞取れたら苦労なんかせぇへん」

と、ポケットにあった櫛の笄をリーゼントのダックテールに刺し入れるようにして頭を掻いてみせた。

器用であることには違いない。

が。

薫はどこかいつも、自信がない訳でもなさそうなのに、みずからを否定するようなことを言う。



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