【完】『雪の都』
《4》
同じ電車で手稲駅に着いた桜子と薫は、駅前の坂を登って本町の交差点を渡り、小学校の脇の坂をさらに上がって右に折れ、コンビニの角にさしかかった。
「いつもそこのコンビニにいるんだよね」
圭が待ち伏せているらしい。
「確かめてみるか」
薫は桜子と二人でコンビニに入った。
かごを手に薫がサイダーやサンドイッチを選びながら、
「今のところ、あの元カレだかってストーカーらしき人間はおらんようやな」
とだけ言った。
が。
とにかく薫は声がよく通る。