【完】『雪の都』
薫は桜子と軽くキスを交わしてから、
「分かった」
頭を軽くポンポンと叩いた。
「そういえば今度のバレンタイン、薫は何が欲しい?」
「うちは桜子がおれば、それでえぇ」
「それじゃ困る」
「うーん…うちチョコレート苦手やねん」
「確かチーズケーキ好きだよね」
「うん」
「じゃあ作る」
「買ったのでえぇって」
「私が薫に何かしてあげたいの」
「…分かったって」
薫は降参したが、嫌な気はしなかった。