甘えたで、不器用でも



「本日は11月11日です」

「……ですね」

「11月11日とは、世の中ではポッキーの日と呼ばれています」

「あぁ、まぁそうですね。ポッキーの日って言いますね、よく」



普段は真面目で、仕事もテキパキとこなす彼。
じっと目の前のその人に視線を向ければすごく真剣な眼差しで見つめ返され、どうやらふざけているわけではない様子。


なにやらカサカサとコンビニの袋を取り出し、中から出てきたのは赤い箱。


まさかと思い、じっとその箱を見つめてみれば見たことのある有名お菓子メーカーのポッキーの箱だった。



「え、あの、もしかして、買ってきたのですか?」

「もちろんです」

「……ポッキーゲームをする為に、ですか?」

「はい」



至極当たり前のように返事をされ、あれポッキーの日ってバレンタインやクリスマスのように王道なイベントだっただろうかなんて考える。


少なくとも女子高生が浮かれてポッキーの日だからと買うのはまだ分かる。


けれど、大のいい大人がしかもあなたのような真面目な男性がポッキーの日などに触発されポッキーを入手し、まさかのポッキーゲームとは。



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