甘えたで、不器用でも
「あの、その、えーと、」
「はい」
「大変申し上げにくいのですが、」
「なんでしょうか?」
「その、ポッキーゲーム……間違っているかと……」
彼を傷つけまいと、遠慮がちに言葉を紡げば「……え、」と小さく漏れた低い声音。それと共に目の前の顔はどんどん赤に染まっていく。
何度も黒縁眼鏡を中指で上げながら落ち着かない様子。
申し訳ない気持ちで俯きながら「いや、そういう楽しみ方をする方もいると思いますよ」と私が小さく呟けば「いや、あのすみません」と消え入りそうな声音が私の鼓膜をくすぐった。
「いや、あの、すみません、僕の勉強不足で。あの、てっきりそういうものだと思っていて、女子高生がそれっぽい話をしていたのを聞いて、あの、それで、」
ペラペラと、急に勢いよく話し出した彼はもはやなにを言っているのか分からなくて。
ポッキーゲームについて勉強もなにもと、本当に真面目だなと思った。その後に羅列されていく単語に聞き入っていれば、女子高生という大人の彼には似つかわしくない言葉が出てくる。