甘えたで、不器用でも



「ちょっと落ち着きましょうか」

「あ、は、はい」



同様をする彼はとりとめなく「あの、その」を連呼する。私もよく飲み込めていないこの状況なので、とりあえず落ち着いてほしい。



「すみません、私よく理解できてないんですが。とりあえず、まずどうしてポッキーゲームをしようと……思ったのですか?」

「あ、あの、お恥ずかしい話なのですが、昨日の仕事帰りに電車で女子高生が話しているのを聞きまして」

「それで、ポッキーゲームを知ったのですか?」



恥ずかしそうに俯きながら私の質問に答える彼の受け答えは丁寧でまるで就職の面接をしているような気持ちにさせられる。



「はい。11月11日はポッキーの日で、それで」

「それで?」

「あ、あの……」



そこまで言って言葉を詰まらせる。それでどうしたというのか。


じっと彼の答えを待つけれど返答がこない。それどころか全くと言っていいほど目を合わせてくれない。


先ほどまであんなに、ポッキーゲームをすると少々恥ずかしいことを真顔で言っていたというのに。


ちらりと入り口上の壁にかかった時計に視線を向けた。昼休み終了まで残り5分。



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