甘えたで、不器用でも


申し訳なさそうな彼の姿がぎゅっと私の胸を掴んで離さない。
本当に、真面目な人だ。真面目過ぎてどうかと思う。告白しておきながら返事を聞かないなんて。きっと“僕じゃ無理”とか“迷惑”とか思ってるんだろうな。


勘違いでポッキーゲームをしよう。なんてことは言えるくせに。


手元のポッキーの入った袋に視線を落とす。



「後でじゃなくて、今じゃダメですか?」

「え、」

「ポッキーゲーム教えるの」



袋の中から1本ポッキーを取り出し、彼の口元へ運ぶ。
薄く開いた唇にポッキーを咥えさせた。


熱でチョコレートがじんわり唇の上で溶けて、悪戯に私を魅了する。



「先に唇を離してしまうか、ポッキーを折ってしまった方の負けです」



ポッキーを咥える彼にそれだけ言って、ぎゅっと目を瞑り反対側からそっと唇でポッキーに触れた。


ゆっくり目を開ければ数センチ先に彼の顔。



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