甘えたで、不器用でも



「あの、ナンパ男さん」

「なんだよ、おっさん」

「君、僕のこと、おじさんって言うけど。君がナンパしたあのお姉さん何歳だと思うの?」



その会話を聞き、あ、最悪だと思った。あの人私の話を出してきたよ巻き込んできたよ。



「は?お姉さんは多分俺と同じで20代前半くらいだろ」

「あー、残念。あのお姉さん若く見えるけど僕と同い年の32歳なんだよね。ってことは君からしたらおばさんだよね」

「え」



彼のその発言にちょっぴり引き気味のナンパ男。
ふたりとも最低だ本当に。禿げ散らかしてしまえばいい。ってか、あとでむしってやろう絶対。



「なんだよ、お姉さんの待ち合わせ相手っておじさんだったのかよ。おじさんダメでしょクリスマスに彼女待たせちゃ」



得意げに彼に向かって説教を始めるナンパ男。いったい何様だろうか。クリスマスに寂しくひとりでナンパをしているイタイ以外の何者でもない20代に説教をされる30代。


てか、早くしてほしい23時43分。早くしなければ終わってしまう。


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