甘えたで、不器用でも



ぎゅっと、毛布を握りしめる。と、



「はぁー、ごめん、本当」



盛大にため息を吐き出し、ごめんと謝りながらラグマットに両腕を付いて体重を預けながら天を見る彼。


彼が謝っている意味がよく分からなくて思わず「……へ?」となんとも間抜けな返事をしてしまう。


なにごと?と、言わんばかりに彼を見つめ、居心地の悪かったあの空気から一気に解放され力が抜けた。


体重は両腕に預けたままの彼の顔がこちらに向く。なんだか少し恥ずかしそうに顔を赤らめながら彼は小さな声で呟いた。



「もらえないかと、思ってた」

「……?なにを?」



覇気のないその声に思わずワンテンポ返答が遅れる。



「チョコレート」



彼のそのひと言に、いまいちピンとこない私。するりと彼との距離を詰めその顔を覗き込んだ。


「なんの話?」と再度問いかければ、じわりと先ほどよりも赤く染まった彼の顔。それがなんだか可愛くて普段と違うその表情にどきりと、心臓が鳴った。



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