甘えたで、不器用でも
ずっと笑っている彼はもう一度「ごめんね」と呟くと、するりと私の耳朶を撫でる。突然のそれにぞくりと体が反応した。
「ごめん、実は、」
「……」
「お前にやきもち妬いてほしくて意地悪した」
「え、」
突然落とされたその言葉にぎゅっと抱きしめていた彼からするりと体を離す。「ん?」という顔を向ければ目の前には彼の綺麗な顔。
ゆるりと口角を上げて悪戯っ子のように笑っているその顔を見て、まさかと思ったのは言うまでもない。
その顔もかっこいいから狡い。なんて思いながら彼の返答を待つ。
「ごめんね、お前が見てるの分かっててわざと他の子たちからチョコもらった。まさかこんなに効果覿面だと思わなくて」
「……最低」
「だから、ごめんて」
彼の思惑にまんまとハマって拗ねていた私が馬鹿みたいだ。目の前の彼の瞳をじっと見つめ、ちょっと意地悪をしてやろうとブラックな私が発動。