甘えたで、不器用でも
はぁ、とため息を小さく零し「だろうね」と、音にすれば驚いた表情が向かいから飛んでくる。
その顔に「はい全て白状して」と言えば彼はゆっくりと唇を開いた。
「今日は、4月の1日で、」
「うん、で?」
「……」
「……」
「4月の1日ってことは……エイプリルフールなわけで……」
「うん」
「そうだね」と、私が言えば彼はぽつりと小さく「……嘘です」と聞こえないくらいの音で言った。
彼は嘘をつくのが下手くそだ。不器用なくせに私を騙せると思っているあたり、本当に頭が弱いんだと思う。
だから、もしかしなくても彼はきっと、いや絶対気づいていない。
「そうだよ、今日はエイプリルフールだよ」
「だから、嫌いって嘘をつきました」
「うん、分かったよ。てか分かってたよ」
「え、じゃあなんであんなこと!」
必死な顔をして「なんで?」と言う彼に、あれ少し意地悪し過ぎたかなと反省。でもそろそろ気づいてほしい。