甘えたで、不器用でも
「はい、これで終わり」
「ありがとう」
最後の1枚を片付け終え、ふぅっと、ひと息つこうと思えば突然手首を掴まれ、するりと引かれた。
バランスを崩した私はボフっと無残にも彼の胸にダイブする。
思いきり当たったおでこが痛い。
「ちょ、いきなりなにするの?」
見上げた先にはなにやら上機嫌な彼の顔。力で敵うはずもなく、ぎゅっと抱かれた体は身動きを封じられたまま。
「手伝ってくれて嬉しかった?」
「え?……うん」
「じゃあ、明日からも手伝う」
「……ありがとう」
「嬉しい?」
「……うん」
なんの質問なんだろう。と考えてはみるものの彼の思考を読み取るには不十分な私の脳みそ。
にっこり。その言葉の似合う表情に、ぞわりと背筋が伸びた。なんだか怖いのですが……。