甘えたで、不器用でも
「これで、本気だって信じてもらえると嬉しい、です」
ただ、ただ、泣きじゃくった。彼は永遠に手に入れられない人だと思っていたから。私の頭の中はキャパオーバーでついていけない。
すると彼が「返事くれないの?」なんていつもの少しふざけた口調で言って目尻を下げて笑うから、涙で滲む世界の中、なんとか彼の袖口を捉えぎゅっと握った。
「してくれる?俺と、結婚」
こくり、こくりと大きく何度も頷けば「よかった」なんて耳元で囁かれて、またふわりと彼に抱きしめられた。
「やった、織姫様がやっと手に入った」
「……織姫なんかじゃないよ」
「俺にとっては、織姫だったよ。ずっと欲しくたまらなかった」
なんだか急に恥ずかしくなって「さっきの電話は?」と問えば「あれは会社から」と、私の予想とは違う返答。
彼と同じ指に、同じ指輪をはめて7月7日、誕生日に訪れた幸福。
「絶対、俺が幸せにする。ごめん、もう離してやらないよ」
それから彼の腕の中でどれだけ泣いたか分からない。