甘えたで、不器用でも
「ねぇ、もう一度聞かせてよ」
「……はぁ、もうなんなのお前」
「なんなのはこっちのセリフです。中学の時も呼び出しておいて勝手に帰るし」
「あれは、お前が俺の友達と仲良く話してるのにむかついて!」
「え、そうだったの!?」
そうだったのかと、あの時の彼の行動の意味を大人になってやっと知ることができた。でも、じゃあ、あの時の彼は私になにを伝えようとしていたのか。
私の期待通りならいい。昔も、今も。
「ねぇ、じゃあどうして今日私のこと花火大会に誘ったの?」
じっと視線を逸らさず見つめて問う。
「なにそれ、分かってるのに聞いてるの?分かってなくて、聞いてるの?」
「分かってるけど、本当に合ってるか確かめたいから聞いてるの」
「はぁ」とため息を吐いた彼は、コツンと私のおでこに自分のそれをぶつけた。あまりに彼の体温が熱くてびっくりする。
と、遠くでヒューッという音が響いた。