甘えたで、不器用でも



「暴れるなよ、落ちるぞ」

「え、いや、だって!こんなの恥ずかしいし、私重いし」

「重くないし。そんな足じゃ歩かせられないし」



もうなんか、彼が優しすぎて調子が狂う。幼馴染だと思っていた時はどんなだったか、もう思い出せない。だから私も悔しいけれどそんな彼に感染して、おかしなってしまうのだ。



「ごめんね」

「なにが?」

「さっきの」

「……」

「……ただの幼馴染って言って」

「で?」

「え、」

「ただの幼馴染じゃないなら、俺ってなんなの?」



にこりと楽しそうに笑われて、むかつく。
ぎゅっと彼に抱きついて赤い顔を隠しながらぽつりと先ほど彼の背中に書いた文字を音にした。





「“昔からずっと、好きな人”」

「よかった今日、決意して花火大会に誘って」

「私、昔からずっと花火好きだよ」

「知ってる」




私の言葉に“元”幼馴染の彼は満面の笑みを見せた。









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