甘えたで、不器用でも
「そんなこと言ったら怒る」
「……」
「俺的に、好きな子が会いたい時に側にいないのは緊急事態だからね。救急車が必要なレベルだからね」
「なにその、中学生の恋煩い的な厄介な病気。馬鹿なの」
「うるさい。でも、心配かけてごめん」
「本当だよ。でも病気とかじゃなくてよかった」
ぎゅっとショートパンツを握っていた手を遠慮がちに彼の背中に回す。
「今度からはもっと普通に呼んで」
「いや、俺的には普通に呼んだつもりだった」
「紛らわしい、馬鹿」
「ごめんなさい」
「馬鹿」
「でも、俺のこと好きでしょ。心配してくれてありがとう」
「馬鹿」
「大好き」
「うるさい」
くすくすと、彼の笑い声が耳元で聞こえた。
ぎゅっと抱きしめたら、それに答えるように彼は強く抱きしめ返してくれた。