甘えたで、不器用でも
ぎゅっと回された彼の腕にじんわり体が熱くなる。
「なんで逃げようとするの?」
「なんでこっちに移動してきたの?」
「そんなの決まってるでしょ」
私を抱いていない左手が顎先を捉える。熱くて触れられたところから溶けてしまいそう。
目の前に晒された綺麗な顔は楽しそうに口角を上げると悪魔のような言葉を溢した。
「悪戯、しにきました」
熱っぽい吐息と共に吐き出された言葉。その言葉を溢した唇は私の唇に重なって舌を侵入させてくる。
甘い、甘い、快楽。
なんなんだこの男は。弄ばれる口内に全身が溶けてしまいそうで。離れろと力いっぱい肩を押してみても力で敵うわけもなく。されるがまま。
心拍数がどんどん上がる。上手く息ができなくて、縋るように腰に回った彼の手をぎゅっと握りしめた。