囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
パーティー会場に足を運びまず入り口から中の様子を伺うと…出席者は1000人規模…
今日のパーティーの名前は創立50周年記念パーティーだが出席者の関心は跡取り彰貴さんの動向だ

普段のホールが3つ分繋げられていた広い部屋には
ところ狭しときらびやかな衣装の人たちが歓談していた

(す、すごい…)

「離れないように…」

「はい」

腕を差し出されたのでそこに手を添えると
上質なスーツのしっとりとした肌触りに益々緊張してしまう

彰貴さんのスーツは青に数滴黒を垂らしたようなミッドナイトブルーの細身のシングルスーツ

ゆっくりと会場へ入った

(ヒ……)

一斉に刺すような視線を浴びせ掛けられる中を進み
真ん中で囲まれている社長の元にまず行くと

傍いた親戚の方を始め会社の重役らしき人たちが一斉に道を開けた

「こんばんは社長」

「こんばんは…早速紹介をするからここに…那寿奈さんも」

「こんばんは、お招き有り難うございます」

膝を折りながら挨拶すると社長は嬉しそうに笑った

「ん、華やかでいいね…」

「会場にお越しの皆様、先にご紹介させていただきますのでお耳を拝借致します」

社長が秘書らしき男性からマイクを受け取って話し始めた

「本日は辻堂のためにお集まりいただきまして有り難うございます……皆様に本日お伝えしたいことがございます。来春より辻堂グループの1つ辻堂ホテルズ社長に彰貴を、また正式な辻堂の後継者に指名する運びとなりました…彰貴、ここへ」

「はい」

挨拶の終わりに彰貴さんが呼ばれる
一斉に降り注ぐ視線に

私は思わず隣でキュッと自分の拳を握りしめると…

「大丈夫だよ…」

ぽんぽんと背中を軽く叩かれ、彰貴さんがマイクを受け取った

「本日お集まりの皆様日頃より辻堂と共にご尽力頂き有り難うございます。
この度、グループの1つ辻堂ホテルズの社長に就任致します彰貴です。また、これを機に婚約を発表致します」

そっと背中に手を置かれて前に出た私にものすごい数の視線が降り注ぐ

(うわ……)

「月島那寿奈さんを私の生涯を共にする相手と思い…婚約をここに発表致します」

私が横で戸惑いながら頭を下げたその時…バタバタと入り口が騒がしくなった



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