囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
決意
毎日、彰貴さんが私を甘やかしてくれる生活は
今まで何故手を出されなかったのか不思議なほど
「もう、止まらないって決めたから……」
夜に朝に…求められて、夢中でついて行って果てる…
その繰り返しで
目覚めれば照れくさくも暖かくて幸せな時間だった
「それは我慢してた部分もあるから…さ…」
「でも熟睡できたって…」
「それも本当…だけど、ふと那寿奈の寝てる時の柔らかで色っぽい首筋とか…気づいちゃうとさ、オレも男だし…」
色気なんて皆無ですが、と伝えると
「そんなの、自覚するようなものじゃないだろ?オレには色っぽかったの…」
と、笑われた
そんなある日坂下が私に伝えた通り……
絶縁された筈の父の一族から連絡が来た
勤務先のレストランに客として紛れ込んでいたのだ
「いらっしゃいませ」
ランチタイムにオーダーを取りに行くと
真っ黒なスーツを着た隙の無い雰囲気で冷たい目をした男がサッと封筒を差し出した
「?!」
「御前がお呼びです那寿奈さん、終業時間後にこちらまで…」
それ以上は注文以外の言葉を発さず
黙々とランチを食べて消えた
その日、早番だった私は19時に上がりだったが…左東さんには連絡せず
ホテルの上階に登った
入った部屋はスイートルー厶でも一部の人間しか使うことの出来ない特別室で、インペリアルスイートルームと銘打たれていた
エレベーターも専用、他の階からは入ることは出来ないフロアにある部屋だ
先程の男に連れられ入室する
「失礼します」
足を踏み入れると高圧的な声が響く
「来たな…」
豪奢なソファーに座りこちらを睨むように見ているのは父の父、私の祖父だ
御前紺上トキヒサ、古くは華族だったという紺上家の当主で政財界のフィクサーとして恐れられている…表向きは紺上財閥の現当主だ
「那寿奈、率直に聞くが…お前、辻堂の跡取りとデキていると聞いたが」
「今、婚約していますが……それが何か」
隠してもこの人には通用しない
それは坂下の時に実感して事だ
「笑わせるな…一族に恥をかかせたお前を表舞台に立たせるわけにはいかん、今すぐ手を切れ」
「それは出来ません」
「浅ましいなそれほどまでに財産が欲しいか」
人を人と、思わない目とはこの事だ
嘲りの笑いに背筋が凍り口が上手く動かない
「違います…財産なんて不確かな要素であの人を選んだんじゃ……」
「そんなもの、口では幾らでも言えよう…」
本当にそうではないのに、この蛇のような人間を前に
上手く言えず悔しくて唇を噛む
今まで何故手を出されなかったのか不思議なほど
「もう、止まらないって決めたから……」
夜に朝に…求められて、夢中でついて行って果てる…
その繰り返しで
目覚めれば照れくさくも暖かくて幸せな時間だった
「それは我慢してた部分もあるから…さ…」
「でも熟睡できたって…」
「それも本当…だけど、ふと那寿奈の寝てる時の柔らかで色っぽい首筋とか…気づいちゃうとさ、オレも男だし…」
色気なんて皆無ですが、と伝えると
「そんなの、自覚するようなものじゃないだろ?オレには色っぽかったの…」
と、笑われた
そんなある日坂下が私に伝えた通り……
絶縁された筈の父の一族から連絡が来た
勤務先のレストランに客として紛れ込んでいたのだ
「いらっしゃいませ」
ランチタイムにオーダーを取りに行くと
真っ黒なスーツを着た隙の無い雰囲気で冷たい目をした男がサッと封筒を差し出した
「?!」
「御前がお呼びです那寿奈さん、終業時間後にこちらまで…」
それ以上は注文以外の言葉を発さず
黙々とランチを食べて消えた
その日、早番だった私は19時に上がりだったが…左東さんには連絡せず
ホテルの上階に登った
入った部屋はスイートルー厶でも一部の人間しか使うことの出来ない特別室で、インペリアルスイートルームと銘打たれていた
エレベーターも専用、他の階からは入ることは出来ないフロアにある部屋だ
先程の男に連れられ入室する
「失礼します」
足を踏み入れると高圧的な声が響く
「来たな…」
豪奢なソファーに座りこちらを睨むように見ているのは父の父、私の祖父だ
御前紺上トキヒサ、古くは華族だったという紺上家の当主で政財界のフィクサーとして恐れられている…表向きは紺上財閥の現当主だ
「那寿奈、率直に聞くが…お前、辻堂の跡取りとデキていると聞いたが」
「今、婚約していますが……それが何か」
隠してもこの人には通用しない
それは坂下の時に実感して事だ
「笑わせるな…一族に恥をかかせたお前を表舞台に立たせるわけにはいかん、今すぐ手を切れ」
「それは出来ません」
「浅ましいなそれほどまでに財産が欲しいか」
人を人と、思わない目とはこの事だ
嘲りの笑いに背筋が凍り口が上手く動かない
「違います…財産なんて不確かな要素であの人を選んだんじゃ……」
「そんなもの、口では幾らでも言えよう…」
本当にそうではないのに、この蛇のような人間を前に
上手く言えず悔しくて唇を噛む