囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
「今日は残業だったのですか?大変でしたね」

「え…あ、はい…少し事務作業が残っていまして…お待たせしてしまって申し訳ありません」

車に乗り込むと左東さんが心配してくれた

…勤務表は左東さんに渡してあるし…残業を普段あまりしないから気にしてくれたようだ

「いえ、それは問題ございません
…それにしても…今日は特別に顔色が優れませんね…大丈夫ですか?」

「ちょっと疲れ気味なのかなぁ…はは…」

誤魔化すにしてはわざとらしかったかとは思ったが気持ちに余裕がなかった

「お戻りになったらゆっくり休んでくださいね」

「はい、有難う御座います」

それ以上左東さんは何も言わず車は邸宅に戻ると珍しく灯りがついていて彰貴さんが先に帰宅しているのだと知る

モヤモヤした気持ちを引き摺りながら階段を登ると
リビングに彰貴さんの姿が見えた

お気に入りのルームウェアを着て、何やら書類を見ていたようだ

「ただいま…彰貴さん…」

「お?……お帰り、那寿奈…」

書類から顔を上げると彰貴さんはスッと立ち上がって私を抱き締めた

「お疲れ様……なんか、顔色が優れないな…お風呂入ったらゆっくり寝るといい…」

「大丈夫ですよ?何か作りますか?」

折角早く帰ってきているなら何か食べて欲しかった

「有難う…でも大丈夫、オレの事はいいから休みなさい」

そう言って身体を離そうとした彰貴さん

でも離れたくなくて私は抱きついたまま離さなかった

「どうした?珍しいな甘えてくるの…なんかあったのか?」

「何も無いです…何も…」

ふわっと身体が浮く

「わっ…」

「あとでたっぷり可愛がってあげるから…まずはリラックスしておいで?」

そうやってバスルームに連れて行かれた


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